よく「使わない機器はコンセントから抜くべき」と聞いていますが、たまに使う物ならともかく、スマホ、タブレットなどの充電器がほぼ毎日使いますので、いちいちコンセントを抜くのは面倒と感じる人も少なくないと思います。
スマホの充電器は毎回抜いたほうが良いかを理解するために、まずは充電器に何があって、刺したままだと何が起きるかを説明します。
充電器の中身
スマホなどの電子機器の電源として、低圧直流電が必要です。コンセントの交流電源を低圧直流に変換する機器が電源アダプター。
電圧を変換ため、昔はシンプルなトランスを採用していましたが、今の時代となって、スマホ、タブレットの充電器、そしてモニターやルーターなどの電源アダプターを含めて、ほぼすべてが「スイッチング方式」を採用しています。
厳密にいうと、スイッチング方式の電源アダプターにもトランスがありますが、一番の違いはトランスに入力する電流にあります。
トランス方式はコンセントからの交流をそのままトランスに入力しているに対して、スイッチング方式はまずコンセントからの交流を直流に変換して、電子回路で制御されたスイッチで断続的な高周波電流を作ってトランスに入力しています。
トランスの効率は入力電流の周波数に関わっていて、周波数が高ければ高いほどトランスの効率が良くなり、小型なトランスで大きなパワーを変換できるので、スイッチング方式の電源アダプターにもトランスがあるとはいえ、トランス方式のアダプターよりはるかに小型です。
また、トランス式だととある電圧を出力するために、特定の電圧を入力しないといけない(例えば100V)に対して、今のスイッチング方式のアダプターは100V~240Vまで、幅広く対応できるものが殆どです。
これはスイッチング方式ではトランスへの入力が電子制御されているため、入力電圧が変わっても、必要分だけスイッチを通して正確にトランスに入力できるためです。
水を汲むことで例えると、トランスは大きな桶で一定な速度で汲むに対して、スイッチング方式は小さな柄杓で 必要な分だけ 高速に汲むというイメージです。
抜かないとどうなる
昔のトランス式アダプターはコンセントに刺せば使わなくても一次コイルに電流が流れ、数ワットの電気を消費し続けます。消費した電気が熱となり、コイルの劣化を加速する効果もあって、それ故に短絡または発火の事例がたまに起きていました。
スイッチング方式になると、トランスに流れる電流はスイッチで制御しているため、使わないときはコンセントに刺したままでもスイッチが動作しないので、トランスに電流がほぼ流れません。
また水を汲む例として、水がいらなくなったら水を汲む柄杓も動作しなくなります。(厳密的には出力側のコンデンサーに蓄積した電圧が自然放電で下がるので、非常に小さな電流で補充し続け、トランスにごくわずかな電流が流れています)
スイッチが切断されて、トランスが電気を消費しない=熱を発生しないので、抜いても抜かなくても同じですので、スマホなどで採用されているスイッチング式アダプターは
「抜かなくてもいい」という結論に至った。
抜けいない充電器もある
そもそも、USBポートがついている電源タップもどんどん増えています。
このような電源タップはアダプターを内蔵しているため、「抜く」こと自体ができません。
さらに、壁コンセントにもUSBが付き始めており、壁コンセントに埋まれたDCアダプターは一生通電したままの前提で作られています。
テレビ、オーディオ機器は抜いたほうがいいです
スイッチング式電源アダプターはメリットしかないわけではありません。
一番致命的なメリットは出力の電流にノイズが乗っていることです。トランスはコンセントからのAC電源をそのまま流れているに対して、スイッチング式アダプターはスイッチの断続で制御しているので、スイッチの接続、切断時にどうしてもノイズが発生します。
そのため、ノイズに敏感なテレビなどはまだまだトランスを採用しています。特にオーディオ機器では電源のノイズが音のノイズに直結しているので、大型トランスを使用しているのがほとんどです。
このような機器を刺しっぱなしにすると電気の無駄ですし、発火のリスクも低いものの確実に存さいしていますので、使わないときはコンセントから抜いたほうが無難でしょう。