CFR SLIが密かにリリースされた SLIが新しい姿で復活するか

CFR SLIが密かにリリースされた SLIが新しい姿で復活するか

PC CFR SLIが密かにリリースされた SLIが新しい姿で復活するか

SLIは時代遅れか

従来のSLIテクノロジ(AFR)は、ゲームのフレームレートを改善するため、2枚(複数)のグラフィックカードがそれぞれ完全に同じゲームデータを持ち、ゲーム画面を同時にレンダリングして画面を交互に出力するというものです。このテクノロジーの最大の価値は、ゲームのパフォーマンスが1枚のグラフィックスカードの上限を超え、より良い画質とフレームレートを実現できることです。
しかし、この手法には大きな欠点もあります。

  1. まずは各フレームのレンダリング時間は短縮されません。たとえば、2枚のグラフィックボードで60FPSのリフレッシュレートを達成しても、各フレームは33.3msの時間を消費します。画像の遅延は改善されていません。
  2. 前のフレームを参照する必要がある一部のレンダリング手法は、AFRには適用されません。たとえば、現在広く使用されているTAA。また、これらの理由により、SLIを有効にするとゴーストやフリッカーなどの不具合が発生する場合があります。
  3. 2枚のグラフィックボードを完全に同期させることはできないため、ゲームのフレームレートが不安定になりがちです。
  4. 一部の機能をOFFにしないといけないので、ゲームごとにプロファイルを指定する必要があります。

Pascal世代のグラフィックスボード(10xx)シリーズから、NVIDIAグラフィックボードのパフォーマンスは大きくに向上しました。
そのためか、Pascal世代のグラボはSLIのパフォーマンスを向上させるためにSLI HBブリッジを導入したにも関わらず、SLIを利用するユーザーが減る一方だし、インタネットでSLIがもう終わりとの見解もますます多くなってきました。

また、新世代のグラフィックスAPI DX12はAPIレベルでマルチGPUをサポートしていて、ゲーム開発者がゲームの描画負荷を複数のGPUに合理的に分散してマルチGPUの処理能力とVRAM容量を有効活用できると謳っています。その結果、AMDとNVIDIAからも

「ドライバーベースのSLI / Crossfireにはもう力を入れません。これからはゲームメーカーがDX12のマルチGPU機能を使用してマルチグラボに対応する時代」

とのアナウンスがありました。

ただし、DX12のマルチGPU機能を使用するのは非常に難しくて、いくつかの技術デモを除き、マルチGPUを活用しているタイトルはほとんどありません。
また、グラフィックボードのパフォーマンスは向上していますが、最近のゲームはフォトリアルを求めて、より複雑な処理をしているため、1枚のグラボで十分賄えるとは到底言えません。4K 60FPSで究極のゲーム体験を求めるゲーマーにとって、SLIの必要性はなくなっていません。

新しいSLIが静かに登場

ゲームメーカーはみんなDX12のマルチGPU機能を使っていないという事情を踏まえて、NVIDIAがマルチGPUの将来をDX12に賭るのは誤算だったと認識したのかもしれませんが、
Geforce 441.41ドライバーでは、新しい「CFR SLI」モードを追加しました。
新しいCFRモードSLIは、DX12を含めて、DX10からのすべてのゲームに適用できます。

CFRとは

CFRは「チェッカーボードレンダリング」の略です。

*ここでいう「チェッカーボードレンダリング」はPS4やXB1などのゲームコンソールで使用されているチェッカーボードアップスケーリング技法とは違います。

Pascal世代のGPUから、NVIDIAは画面をチェス盤のような多数のタイルに分割し、それらを1つずつレンダリングする「タイルベースレンダリング」と呼ばれる技術を採用しました。
CFRはこの仕組みを活用して、「チェッカーボード」の黒と白に当たるタイルをそれぞれのグラフィックボードで同時にレンダリングさせます
実際のゲームでテストした結果、CFRモードを使用したSLIのパフォーマンスは、従来のAFRモードのパフォーマンスよりわずかに低く、フレームレートはゲームによってシングルGPUの約130%〜190%です。ただし、CFRは各フレームのレンダリング時間を本当に短縮しているのと、シングルGPUと同じように1フレームずつ描画しているので、AFRの弱点を完璧に解決しています。

廃止されたSFR

実は、最初のSLIは正に画面分割のアプローチ、つまりSFR(Splitted Frame Rendering)を採用しました。
SFRは、画像を左半分と右半分に分割し、各GPUはそれぞれ半分の画面をレンダリングする方式です。ただし、当時のSFRには2つの欠点があります。

1.ゲームの左右の複雑さは均一ではなく、描画負荷を均等に分散できません。
2.画面の中央部分のポリゴンは2つの領域にまたがっており、2つのグラボではこれらの部分を2回もレンダリングしないといけません。

この2つの問題により、当時のSFRのパフォーマンスはシングルGPUより大きく向上できず、後で登場したAFRに完全に置き換えられました。

復活したSFR

CFRは厳密にいうと相変わらず画像分割(SFR)ではありますが、画像は多くの小さなタイルに分割されて、チェッカーボードのパターンで均等に2枚のグラボに分散出来るため、まずSFRの問題1を解決しました。
2番目の問題に関しては、現在のゲームはよりリアルな光と影に注目しており、ジオメトリに関しては分割によって無駄が起きても大きな問題ではありません。また、NV-Linkは以前のSLIブリッジよりはるかに高い通信帯域幅を持っているため、内部データの高速共有も可能になりました。
そのため、CFRは最新のテクノロジーでSFRを復活させたとも言えます。

441.41ドライバーでCFRを有効にする

CFR SLIはまだテスト段階であり、公式リリースされていないため、有効するには通常のグラフィクス設定ではなく、NvidiaProfileInspectorが必要があります。
cfr-sli
SLI compatibility bitsを0x02に設定して、SLI rendering modeはAFRではなく、SFRに設定します。
ただし、前述のようにCFRはNV-Linkの通信帯域が必要なため、NV-Linkを装備しているQUADROか、RTX2000シリーズでしか動作しません
最初の441.41ドライバでは以下のタイトルが正常に動作することを確認しました。

  • Metro Exodus (DX11/DX12)
  • Borderlands 3 (Only DX11)
  • Chernobylite (Only DX11)
  • Crysis 3 (Only DX11)
  • Shadow of the Tomb Raider (Only DX11)
  • Deus Ex Mankind Divided (Only DX11)
  • A Plague Tale Innocence (Only DX11)
  • Mafia III (Only DX11)
  • Devil May Cry 5 (Only DX11)
  • Resident Evil 7 (Only DX11)
  • Resident Evil 2 Remake (Only DX11)

まとめ

4Kディスプレイの普及につれ、4Kゲーミングもだんだん主流になりそうでのが、現状、フラグシップのRTX2080tiでも4K 60FPSを賄えないという状況もあるので、AFRの諸欠点を解決できるCFR SLIにはそれなりの市場はあるではないかと思います。
そしてAMDもフォローして、Crossfireを似たようなアプローチで復活させると期待しています。
(自分は最近Crossfire非対応のRadeon 5700XTを買いましたのでw)

CHECK

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